2024年度事業計画
当(一社)鉄道電業安全協会は、鉄道電気関係工事の安全施工に関する調査・研究、講習及び資格認定、並びに安全技術の普及、改善に寄与し、以て鉄道事故防止の促進を目的としている。
新型コロナウィルス感染症の2023年5月に5類への移行のほか、インボイス制度導入等の社会的動向のなか、2023年度は講習会事業等をほぼ計画通り推進してきた。
2024年度は、引き続き社会的動向を踏まえつつ、鉄道電気工事の安全を支えるため、
更にガバナンスを徹底し、資格認定業務等を厳正実施するなど各事業を推進して鉄道電気関係工事の安全施工に貢献するという使命を果たしていく。
〔1〕2023年度の主な取組と課題
- 1.
- 資格認定業務の厳正実施
従前より、指導文書等により試験問題の管理、試験の実施等を厳正に実施してきた。これら指導文書等を整理体系化し、2023年4月1日より新たに「電気関係工事従事者資格認定業務規則」を定め厳正実施を徹底した。 - 2.
- 新型コロナウィルス感染症対策
5月に5類に移行したが、引き続き、講習会等において、受付時の検温、手洗い消毒、 マスク着用、不要な会話の禁止、配席の離隔確保をはじめ、オンラインの活用等により感染防止を図ってきた。約 5 万 3 千人に講習を実施し、講習での感染は確認されていない。
また、職員等が検査結果「陽性」となった場合もあったが、職場等の消毒、PCR 検査 (または抗原検査)により対応しており、職場内での感染も発生していない。 - 3.
- 安定した運営基盤の確立と経費把握
新型コロナウィルス感染拡大に伴う緊急事態宣言後、2020年度は講習会事業等が中止となり、資金面での協会運営が厳しい状況となった。この経験を踏まえ、安定した協会運営を行う為に相応の手許資金の確保が重要であるとの認識のもと、一層の収入確保と支出低減を進めてきた。
経理システムを導入して4年目となり、適時経費把握可能となり、システムの取扱いも定着してきた。一部の支部ではまだ請求誤りが発生する場合があるものの当初の請求誤り等は概ね解消してきた。
請求の基となるデータのベースは、JR 等の会社により異なっていることから、統一した処理が難しく、手作業が発生することから誤りのもととなっている。 - 4.
- インボイス制度への対応
2023年10月に施行された改正消費税法(インボイス制度)に基づき、請求書発行システムを改修実施、4月より適格請求書を発行し、特に問題は発生していない。また、仕入れ業務等について、問題点・課題を抽出し逐次解決を図っている。 - 5.
- 人材の確保
当協会職員(嘱託)は JR 等を退職し、さらに関連する工事会社を退職してからの職員が多く、高齢化が著しくなっている。また、在職期間も短くなり、継続的な業務運営に支障する場合がある。
〔2〕2024年度事業計画
- 1.
- 会員への支援
- (1)調査・研究、委員会事業
- ①支部・支所における事故防止委員会を継続し、各鉄道事業者及び会員とともに事故情報の共有化、事故防止策の検討、実施対策の水平展開を図る。
(附属資料 - 1 2024年度委員会事業等計画表) - ②2022年度より再開したJR6社電力ワーキングループ、並びに開始した信号ワーキンググループを継続実施し、実務レベルによる事故情報と事故防止対策の共有化と情報交換を推進する。
- ③2018年度から実施している、年代別・支部別有資格者数の把握・分析を継続実施し、会員の資格者確保のための方策検討に活用する。
- ④安全資料図書室(当協会ホームページ)の充実を図り、会員の事故防止に資すると共に、講習会資料に活用する。
- ①支部・支所における事故防止委員会を継続し、各鉄道事業者及び会員とともに事故情報の共有化、事故防止策の検討、実施対策の水平展開を図る。
- (2)講習会・資格認定事業
- ①「電気関係工事従事者資格認定業務規則」に基づき、資格認定業務の厳正な実施に取り組む。
- ②鉄道事業者における資格認定制度の変更や規程類の改訂等を迅速に反映し、講習会内容及び資格認定業務に的確に反映する。
- ③10条教育、適性検査、安全教育ならびに資格認定業務等、鉄道事業者の要請に対して積極的に対応する。
- ④オンライン講習、ビデオ講習など、講師の高齢化・ウィルス感染防止等、環境の変化に対応した講習のあり方について、検討・実施を推進する。
- ⑤ 鉄道電気設備整備分野における外国人材活用について、技能試験実施機関として検討を開始する。
(附属資料 - 2 2024年度講習会事業等計画表)
- (3)表彰事業
- ①表彰規程に基づき、施工安全賞及び鉄道電業安全協会功労賞の表彰を継続する。
- (4)特別会員(鉄道事業者)との連携強化
- ①特別会員意見交換会を継続実施し、資格認定制度の共通化、講習会や認定証発行のあり方ほか、双方の要望や課題を検討、対応策を実施する。
- ②さらなる関係強化が望まれる公民鉄事業者の特別会員への加入を促進する。
- (1)調査・研究、委員会事業
- 2.
- 安定し健全な協会経営の確立
会員の円滑な業務運営に資する講習会の充実、各種情報提供の充実を図るため、協会全体の能力向上と各支部の自立経営を確立する以下の取組を行う。- (1)本部と各支部の連携強化
- ①オンラインツール活用によるオンライン会議、スケジュール・掲示板ツールによる情報の共有化を推進する。
- ②「支部長会」「事務局長・支所長会議」等を活用し、本部・支部・支所間の意思疎通及び課題の抽出と対応策を検討、実施する。
- (2)経営基盤の健全化、経営状況の見える化
- ①インボイス制度に伴う、問題点の把握、経理業務の改善を進める。
- ②経営状況を見ながら災害等の異常時にも対応できる運転資金の確保等、経営基盤の健全化を進める。
- ③各事業の運営及び業務を分析し、可能な経費低減を図る。
- ④新規会員の獲得や講習の新規受託、資格認定業務受任の拡大を図る。
- (3)人材の確保、育成
- ①鉄道会社、工事会社等との連携により、講師等職員の後継者の確保を図る。
- ②人材を鉄道会社等OBだけでなく広範囲からの確保と育成を図る。
- (4)業務の改善
- ①講習会や講習料等の管理に関して整理統合を進め、講習会計画及び実績管理の簡素化、並びに経理システムへの実績入力誤り防止を図る。
- ②複数のソフト(支部毎に異なる講習会申請システム、原価Pro、チェプロ変換、財務応援、楽々明細等)により構成され複雑になっている経理システムについて、システム更新時期に向けて、問題点を整理し、システム構築の検討を進める。
- ③コンピュータウィルス対策として、セキュリティシステムの強化、並びに個人情報の保護を含め職員等へのセキュリティについての意識付けを継続的に実施する。
- (1)本部と各支部の連携強化
- 3.
- 協会職員の働き方や環境の改善
- ①全世界的な SDGsへの取組みを踏まえ、地球環境問題や人権問題など世界的価値観を共有し、協会運営の活性化を通じて協会活動に反映していく。
- ②職員の意識改革を進め、システム化や業務全般の効率化を通じて働き方改革を進め、講師・職員の待遇改善を目指す。
- ③有給休暇取得や超過勤務の削減に資する仕事の仕組み改善を図る。
□ 2024年度正味財産増減予算書
以上の事業計画を達成するため、以下の予算を策定する。
(附属資料 - 3 2024年度正味財産増減予算書)
2024年度の講習事業計画表と正味財産増減予算書はPDFでダウンロードすることができます。